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2010年 08月 31日
夏風邪を引いた。無理して休まないでいたら、身体のあちこちがおかしくなった。 ギブアップして、たまには自分にご褒美をやることにした。 渋谷のシアター・イメージフォーラムでやっている、ホセ・ルイス・ゲリンの「シルビアのいる街で」(2007) を観にいった。 ドキュメンタリーに最小の手を加えたような感じの映画で、音と映像がよかった。 ヴィクトル・エリセの「マルメロの陽光」('92) を思い出した・・・ エリセの映画はこれまで3つ観た。 後の2つは「エル・スール」('82)と「ミツバチのささやき」('73)で、オムニバスを除いた彼の映画はこの3本しか無いから、ほとんど観たと言っても過言ではない。 それほど彼は寡作家で、「10年に1本しか撮らない映像作家」と言われる。 この3つの作品はどれもが忘れられないが、やはり最初に観た「ミツバチ‥」は特別だ。 (日本で最初に紹介されたのは85年で、場所は六本木のシネ・ヴィヴァンだった) 観終わった後、私の中のものつくりの魂が共鳴してしまい、しばらく席を立てなかった。 一つ一つの構成がとてもプリミティブで、すべてのテクスチャーが生身で感じられたのだ。 最初のオープニングからしていい。 子供が描いた素朴な絵がタイトルバックに流れ、それはそのまま移動巡回トラックに変わって、村で「フランケンシュタイン」の映画が催されるシーンに移る。主人公のアナは姉のイザベルからフランケンシュタインは怪物ではなく精霊で、村のはずれの一軒家に隠れていると教わる。 それを確かめに行くアナ。一軒家で足を怪我した兵士と出会い、リンゴを差し出し、オルゴール時計で一緒に遊ぶ。その夜、銃声が響き、翌朝、死骸となって公民館に横たわる兵士。警察に呼ばれ、返された自分のオルゴール時計を一人虚ろに鳴らす父。一軒家に行き、血の跡を見て驚くアナ。 その夜、家に帰らず森の中を彷徨するアナはフランケンシュタインと出会う。そして昏睡状態で発見される。みんなが心配する中、深夜、一人ベッドを抜け出し、窓を開け、暗闇の精霊に向かってささやくアナ・・・ こうした、素朴で澄んだ子供の目線から視たいろいろな出来事が、陰影の濃い静謐な映像で繰り広げられて行く。 スペイン内戦や大人達の謎に満ちた行為も描かれている。だが、それらは決して声高ではなく抑制された形で描かれている。しかも最後まで人が呼吸するテンポを大事にしながら、ファンタジーと寓意を交えたイマジナブルな映像として描かれている。 一つ一つが手仕事で組立てられ、すべてに手触りが感じられた。 私は初めて映画を観ながら、ものつくりのつくり方を教わったような気がした。 「ミツバチのささやき」は未だに私の創造の原点であり、何度でも観たくなる映画だ。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2010-08-31 18:20
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