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2016年 10月 31日
ボブ・ディランがノーベル文学賞に選ばれ、貰うか貰わないか話題になった。 丁度その頃、表参道を歩いていたら、ポスターの「ボディーライン」という文字が「ボブ・ディラン」に見えてしまった。どうやら私の頭も錯乱している。
ボブ・ディランの名前を初めて知ったのは小学4、5年の頃で、兄のとっていた雑誌に「風に吹かれて」の歌詞が出ていた。(だが、この歌を初めて聴いたのはPPMで、好きになったのはジョーン・バエズの歌だ。ディラン自身の歌はどこか間が抜けた感じで、あまりピンと来なかった) ディランの歌で最初にガツンと来たのは、やはり「Like a rolling stone」だ。 ロックに魂を売ったとフォーク・ファンから揶揄される曰く付きの曲だが、初めて聴いた時は、ロックというよりたゆとうリズムの荒削りな民族音楽のようで、その豊穣な音に驚いた。冒頭から激しく歌い叫ぶディランの声は、今の耳で聴けばラップの始まりのように聴こえる。 いずれにせよ、ディランは私の世代より少し前の、兄の世代とジャスト・フィットした英雄で、その分、私は(別に毛嫌いしたわけではないが、引け目を感じ、)積極的には聴かなかった。だから逆にいつかきちんとディランを聴きたい、そして理解したいと思っていた。 渋谷のイメージ・フォーラムでディランの半生を描いたドキュメンタリー「ノー・ディレクション・ホーム」(このフレーズは「Like a rolling stone」の一節だ)をやると聞き、すぐに観に行った。10年前の話だ。 この映画はディラン(1941〜)の生い立ちから66年のオートバイ事故辺りまでを扱っているので、彼の長い音楽キャリアからすると前半、というより最初の部分にあたる。だが、濃密な内容で、3時間半の上映時間は長くは感じず、飽きさせない。 ディランの生きた60年代のアメリカはベトナム戦争や公民権運動などで揺れた激動の時代で、彼の音楽もそれを色濃く反映している。つまり、このドキュメンタリー映画は一人の若者の青春を捉えると共に、激動のアメリカ現代史を捉えた映画でもある。アレン・ギンズバーグ、ジョン・ケルアックらのビートニクの詩人や作家、キング牧師、J.F.ケネディらがラッシュフィルムのように現れ、その時代が走馬灯のように振り返られる。 だが、それ以上に印象深いのは、デビュー当時のディランのピュアでナイーブな横顔だ。それはジョーン・バエズらにも言える。ひたすら自分に正直に、自分の音楽を追いかける姿は美しい。 それが、有名になり、多くのファンと敵ができるようになると、ディランの横顔にも苦悩と困惑の表情が増えていく。顔はその人の人生を反映すると言われるが、ディランの場合は特にそうだ。 ボブ・ディランはランボーやキーツと同じで、若くしてすべてを成し遂げた天才だが、オートバイ事故で死ぬことなく今もどこかで歌っている。 それはそれですばらしいことだが、やはりディランの真骨頂はその最初の前半生にあると思う。それをきちんと捉えたこのドキュメンタリーはとてもおもしろい。 ノーベル賞騒ぎでうんぬんする暇があったら 、ディランの歌に耳を傾け、歌詞を聴き、この映画を観る方がずっと価値があるだろう。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2016-10-31 18:16
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