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2009年 09月 10日
ロバート・デ・ニーロに最初に出会ったのは「タクシードライバー」('76)だった。 孤独で気弱な主人公が不眠症で精神を狂わせ、危険な妄想を抱いた末に強烈なバイオレンスの行動に走る。結果は意に反して少女を売春宿から救ったことで英雄視されるが、彼は再び元の孤独なタクシードライバーに戻って行く…という大都会の孤独と狂気が鮮やかに示された秀作だった。(テーマ曲でのトム・スコットのけだるいサックスは最高だった) 気弱な主人公の話し方と強烈なバイオレンスとの落差はとてもショックだった。 次に観たのは「ディア・ハンター」('78)だった。 アメリカのベトナム戦争物の一つだが、戦争そのものを描くというより、その当時の若者の友情とその悲劇の結末に焦点が合わされた映画だった。特に最後の、友人一同が集まりパーティーを開くシーンで、そこにいない亡き友に向かってマイケル(デ・ニーロ)が心から言う短い乾杯の言葉 "To Nick"(ニックへ)のシーンは忘れられない。 ここでのデ・ニーロは、人間的なスケールの大きさと優しさが圧倒的で、とても魅力的だった。 そしてトドメは「レイジング・ブル」('80)だった。 まず、オープニングの、マスカーニの美しい曲をバックにデ・ニーロがスローモーションでリングの上を躍動するモノクロシーンがすばらしい。こんなに冒頭から心をわし掴みにされる映画は滅多にない。 ところが話の内容は美しいどころか卑猥なくらいで、裏ぶれた劇場の楽屋でかつて世界ミドル級チャンピオンだった男(デ・ニーロ)がその栄光と転落の歴史を速射砲のように語り、映像がそれを猥雑にたどる。 ジェイク・ラモッタの自伝を映画化したものだが、圧巻なのは、ボクサー時代の鍛え上げられたデ・ニーロの肉体と転落後の肥満した肉体(27kg増量したらしい)の落差だ。だが、それ以上に凄いのは、嫉妬心や執着心で妻や弟、友人を無くしボロボロに転落して行く哀れな男の業を演じるデ・ニーロの役者魂だ。 ここに至って私はデ・ニーロに狂ってしまい、以後デ・ニーロの映画は観まくった。 特にマーティン・スコセッシと組んだ作品は好きでいくつも観た。 そして彼らが最初に組んだ「ミーン・ストリート」('73)に行き着いた。 この映画は、(デ・ニーロにとってもスコセッシにとっても駆け出し時代の作品なので)荒いと言えば荒いのだが、すでに魅力は満開している。特にデ・ニーロは凄い。危険でアブナイ匂いがプンプンしている。 話の内容は、彼らが何度も描いている自分達のルーツであるニューヨークのイタリア人街が舞台で、そこにたむろす二人のチンピラの友情と葛藤の物語だ。 主人公のチャーリー(ハーベイ・カイテル)はそろそろチンピラ稼業に区切りをつけて堅気になろうと考えているが、片割れのジョニー・ボーイ(デ・ニーロ)は全然無頓着で、あればあるだけ金を使い、無軌道で、女にもだらしない。挙げ句の果ては借金取りと一悶着し、とうとう追われる身となる。 その最後のシーンが凄い。 殺し屋に追われて車でブルックリン・ブリッジを疾走し、最後は消火栓に激突して車の中から血まみれで呆然としながら這い出て来るシーンのバックに、エリック・クラプトンのクリーム時代のライブの名演「Steppin' Out」が激流のように13分40秒ただただ流れるだけなのだ。 最初に超速弾きの神業的名演があったからこのシーンが生まれたのか、その逆かは知らないが、いずれにせよスコセッシはこの演奏が好きなのだと知り、とても親近感が湧いた。 なぜなら、私がクラプトンの名演の中で一番好きな演奏だからである。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2009-09-10 20:37
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