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2010年 10月 25日
![]() 書くのは1人の監督に1つの作品と決めていたが、やはりフェリーニだけは特別だ。 さらにこの作品は特別だ。映画が娯楽であると同時にイメージの集積でできた芸術なのだということを初めて明らかにしてくれた映画だからだ。 観たのはパリで、「道(La Strada)」、「甘い生活」、「8 1/2」の順で観たので強烈だった。まるで三段跳びを見ているような飛躍ぶりだった。 フェリーニは若い頃、ロッセリーニの「無防備都市」('45)の脚本に参加し、その映画人生はネオレアリズモから始まった。 だが、「道(La Strada)」('54)の時点で既にそれから脱皮し、大道芸人、パントマイムの動き、ポエジーに溢れた映像、独特の間、私的ヒューマニズム、アンチキリスト教等々、フェリーニ独自の世界は始まっている。 「甘い生活」('59)ではそれがさらに先鋭化し、デカダンスの中で歪なくらいにデフォルメされた映像化がなされている。 キリスト像を中吊りにしてヘリコプターで運ぶ冒頭のシーンからして、「なんなんだ!これは??」と頭がクラクラしてくる。(だが、これが映画のストーリーと直接繫がっているわけではない) 途中のアニタ・エクバーグがトレヴィの泉で戯れるシーンも印象深いが、最後に出て来る、波に打ち上げられた巨大なエイは(退廃の象徴というのはわかるが)それ以上にインパクトのある鮮烈な映像で、シュールでさえある。 こうしたフェリーニ独自の世界は「8 1/2」('63)で最高潮に達する。 まず、渋滞の車の中で息苦しくもがき、空中に逃げたのもつかの間、足に掛かった縄で地上に引き戻される冒頭の夢のシーンから観る者を幻惑させる。 主人公グイド(マルチェロ・マストロヤンニ)はフェリーニの分身とも言える映画監督で、スランプとプレッシャーに悩まされ、その治療と新作構想のために温泉地にやって来るのだが、苦悩はさらに深まり、いつしか自らの妄想の中へ現実逃避し始める・・・ つまり彼は自分自身の私生活を題材としながら、夢と現実が交差し、どこからどこまでが真実で嘘かわからない映画を創造し、映像化したのだ。 特に印象深いのはその魔術的な絵の造り方で、アップされた顔が会話する向こうに小さな人の動く様子が描かれ、それがパンして次のシーンに移ったり、複数の人の動きがタッチするように繫がって行ったり、常に画面が動きながらイメージが展開されて行く。 また、妄想の理想郷がハーレムでコケティッシュないろんなタイプの女が出て来たり、それとは反対に大女が幻惑したり、セクシーで包容力のある不思議なイメージが展開されて行く。 登場人物の動きもすべてカリカチュアされ、どこか歌舞伎にも似ている。 真にフェリーニの創造精神が爆発している。 グイドは苦悩の果てに最後にこう言う。 「人生は祭だ。共に生きよう!」 これはフェリーニ自身の言葉だ。 そして夜、サーカスの音楽隊が現れ、夜のしじまに消えて、 フェリーニ映画特有のしみじみとした不思議な形で映画は終わる。 その夜、私は興奮して一枚の絵を描いた。そして悪夢のような夢を見た。 朝起きて、ふたたびその夢を絵に描いた。ベッドの上に8枚半の絵が残った。 かずま ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
by odyssey-of-iska2
| 2010-10-25 23:58
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