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2010年 12月 08日
![]() アニメについて語ろうと思う。 だが、ジブリや最近のアニメについて語っても、(それはみんなが語っているので、)誰かの言葉の焼き鈍しになるだろうし、だいたいそんな暇つぶしのために私はブログを書いているのではない。 語るに値する事だけを自分の言葉で書き、残したい。 そう考えたら、書く対象は決まった。「鉄腕アトム」だ。 アトムのTV放映が始まった時(たぶん、小学2年の時だと思う)はとてもショックだった。 天馬博士の子、飛雄が交通事故で死に、彼に似せて作られたロボットがアトムなのだが、その事故が起こる高速道路のシーンが凄かった。スピードに合わせて空間が伸びたり縮んだりした。初めて3次元空間を感じた。アトムを通して初めて未来を感じた。 とても興奮した。私だけでなく皆そうだった。学校での話題は鉄腕アトム一色だった。 授業中はセルロイドの下敷きをピュンピュン曲げてアトムが歩く音をみんなで真似した。 明治製菓のマーブルチョコレートをガンガン食べてアトムシールを集めた。 TVは欠かさず見た。そしていつも興奮した・・・ だが、それ以上にショックだったのは、後年、そのTV放映がいかにして作られたのかを知った時だ。 終電で家に戻った深夜に何気なくTVのスイッチを入れたら、BSの再放送をやっていた。 内容は鉄腕アトムTV放映当時の虫プロスタッフで現存する人々が語るドキュメンタリーで、最初はヘ〜くらいの感覚で見ていたのが、そのうち身体が熱くなり、最後は感嘆を通り越して胃が痛くなってしまった。 それくらい実際の制作現場は凄まじい修羅場だった。 このTV放映の話が虫プロに持ちかけられた当時、アニメといえばディズニーかそれに影響を受けて始まった東映動画くらいで、アニメは映画館で観るものだった。それをTVで子供達が日常的に観られるものにすることは手塚治虫の夢だったに違いない。 その実現のため、彼は途方もなく安い金額でその話を請け負ってしまった。そしてそれを補うため、漫画の執筆数を極端に増やした。 アニメの制作と漫画の執筆を同時並行しながらおこなったので、寝食の時間を削った挙げ句、最後は虫プロに寝泊まりしながら作業する羽目に彼はなった。 それは同時に現場のスタッフにも同様の苦しみを強いた。過酷な労働と賃金の安さへの不平不満、限られた時間と作業の困難さ、蓄積した疲労感から、現場は何度も行き詰まり危機的状況に陥った。 そんな時にアトムの主題歌の録音採りがおこなわれた。徹夜で疲れ、半分寝ていた手塚治虫は、エンジニアの始まりのサインを録音終了と勘違いし、「OKです、それで結構です」と思わず言ってしまった。それを見ていたスタッフ達は、さすがにもう手塚に頼っていてはダメだ、自分達がしっかりしなければ、と悟ったという。そしてそこから何かが変わり始めた。 こうして困難を一つ一つ乗り越えながら日本で最初のストーリー漫画のアニメは完成し、TV放映された。そんなこととは知らず、子供だった私達は無邪気に興奮し、未来を夢見た。そしてそれは現在の日本のアニメの、世界的な繁栄へと繫がって行った・・・ こうした血のにじむような努力があって初めて夢は叶うのだということを思い知らされた。 ものつくりのすべての原点はここにある。 このビデオが市販化され、多くの人の目に触れることを望みたい。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2010-12-08 22:57
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