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2012年 02月 10日
私は今、困難なことをしようとしている。 それはまだ観たことのない映画について書くことで、映画は「ルーという女」、監督はジェリー・シャッツバーグだ。 シャッツバーグの映画を初めて観たのは「スケアクロウ」('73)だった。 冒頭の、風の吹きすさぶ中、片田舎の路上でヒッチハイクをする二人の男が出会うシーンからしてとても魅力的で、すぐに引き込まれた。しかもそれは何かを暗示していた。 荒くれで喧嘩っ早い大男のマックスと、陽気で人なつっこい小柄なライオンは、実は社会から取り残された人間で、旅の途中で幾多の経験をしながら二人は心を通わせていく。 そしてささやかな夢を叶えようとした瞬間、大きな挫折がやって来る。(このシーンは凄い!) 暗澹たる気持ちを抱きながら一人旅立つマックス・・・ 私はアメリカン・ニューシネマの到達点は「カッコーの巣の上で」('75)だと信じるが、この作品もそれに劣らぬ秀作だと思う。 ジーン.ハックマンとアル・パチーノの演技はとても印象深い。だが、それにも増して監督の構成力と繊細な色使い、特に映画全体を覆っている暖色系の黄昏のような色味は印象的で、深く脳裏に残った。 それから数年経ち、深夜にTVを見ていたら、やはり暖色系の黄昏のような色味が印象的な映画に出会った。 ヘロインに染まって奈落の底へ落ちて行く二人の若い男女の、愛と孤独の物語だ。 主演がアル・パチーノで、映画の雰囲気もどこかしら似ている。調べたら、監督はやはりシャッツバーグだった。 この映画「哀しみの街かど」('71)は観ようによっては「スケアクロウ」の前段とも取れる。だったら、彼の処女作「ルーという女」('69)はその始まりの作品に違いない。 日本での公開は72年で、(「スケアクロウ」を観る前だから)もちろん私は知らない。だが、観た人から聞いて、ストーリーはだいたいわかっている。 かつて栄光を極めたファッションモデルが精神に変調をきたし転落するまでの道程を回想する物語だ。(昔の恋人だったカメラマンは責任を感じ、その話を映画化して償おうとする) 主演は当時シャッツバーグと恋仲だった(そして多分それが終わろうとしていた)フェイ・ダナウェイ。ちなみにシャッツバーグは映画に転向する前はヴォーグやエスクァイアで活躍するファッション・カメラマンだった。 つまりこの映画は自分達の私生活を虚実を交えながら撮ったダブルミーニングの映画とも言える。 だが、それを観たいのではない。 シャッツバーグは優秀なファッション・カメラマンだったから、彼の映画がアングルやトリミングにうるさいのは当然だ。だがそれ以上に、あの暖色系の黄昏のような色味に私は強く惹き付けられる。 多分それは彼が本能的に欲し、用いている色のようにさえ感じる。 「ルーという女」でもその色は出て来るのではないか? それを確認したいのだ。 映画は絶対、脚本と構成力だと思う。 だが、それにも増して、全体を覆う色に惹かれて観る映画があるとしたら、 それはそれでおもしろいと思う。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2012-02-10 16:00
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