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2014年 07月 05日
![]() ![]() ![]() 飛行機の長旅で映画を観てよかったと思ったことはほとんどない。 どだい、あんな小さな画面とチャチな音響装置で感動するのは無理だ。新作を観た時は、ストーリーを知らなければ映画館で観たのに、と後悔することさえある。 ただ、私の場合一つだけ例外がある。 「おかしな二人2」('98)だ。 これも観たかったから観たのではない。たまたま席の近くのモニターを何とはなしに見ていたらジャック・レモンが出ていたので、久しぶりだな、元気でやってるんだな、とイヤホンで聞いたら、これが滅茶苦茶におもしろい台詞の連発で、ウォルター・マッソーとの掛け合いも絶妙で、最後までジェットコースターのように観てしまった。 後で調べたら脚本はニール・サイモンで、「だからか!」と納得し、ついでに「1」('68)のビデオも借りて観た。デンポは「2」に負けるが、これもおもしろかった。(脚本は同じくニール・サイモン) ジャック・レモンを最初に知ったのは高一の時で、「グレート・レース」('65)のリバイバル上映だった。(春の甲子園を観に行ったが雨で休みだったので難波に出て、偶然観た) トニー・カーティスとナタリー・ウッドの敵のフェイト教授役で、助手のマックスはピーター・フォーク、と俳優はとても豪華だったが、一番気に入ったのはジャック・レモンだった。間合いや表情、アクションが抜群だった。 (今でも、あの失敗した時に「マ〜〜〜〜ックス!!!」と叫ぶシーンは目に浮かぶ) その後、ジャック・レモンの出ている映画はコメディからシリアスな物までいろいろ観たが、演技がどれも上手で驚いた。(「酒とバラの日々」('62)はあの有名な甘い曲に誘われ観たが、甘いどころか全く逆の、どんどん堕ちて行くアル中の物語で、観終わった後は本当に絶望的な気持ちになった) 一番好きなのはどれかと言われたら、やはり「アパートの鍵貸します」になるだろう。 これは単なるコメディを超えた人間賛歌のドラマで、観終わった後いつも温かい気持ちになる。また、パーフェクトゲームの映画だなといつも感心する。 出演者は皆上手いし、監督も職人芸だし、脚本も良くできている。 物語は、うだつの上がらないサラリーマン、バド(ジャック・レモン)が勤務評価をあげるため、自分のアパートの部屋を上司の逢い引きに貸すことから始まる。 バドは以前からエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)に気があり彼女をデートに誘うが、実は彼女は妻子ある上司と浮気をしていて、その別れ話がこじれ、こともあろうか、バドの部屋で睡眠薬自殺を図ってしまう。 部屋に戻ってきて、ベッドで倒れているフランに驚くバド。 この辺りのジャック・レモンの慌てぶりとその後のフランの回復のために献身的に働く演技は最高だ。優しさと繊細さに溢れている。 特に私が感心するのは、翌朝ひげを剃っていて、ふと、再び自殺するのでは、とすべての刃を隠してしまうシーンだ。ディテールがきちんとしてて、単なるコメディでは全くない。 あの有名な、テニスのラケットでスパゲッティの湯切りをするシーンも最高だ。 「ティヤ〜〜〜ララ、ティヤ〜〜〜ララ、ティヤ〜〜〜ララ、ヤホ〜〜〜」とイタリア人のように陽気に唄を歌いながら、フランと一緒にいるのがうれしくてしょうがない!!という感情が全身から溢れている。 だが、人生はそんなに上手くは行かない。 フランの義兄からは自殺未遂の犯人の誤解を受けてパンチを浴び、おまけに上司からは近々離婚が成立するのでフランの件から手を引け、そして鍵を貸せと再び言われる。 バドは鍵はもう貸さないと言い、自分から会社を辞めて出ていく。 大晦日、年越しパーティの席で上司からその話を聞かされたフランは、初めて自分を本当に愛していたのは誰かを知る。そして猛然とバドのアパートに向かって走り出す。 映画はこのシーンのためにあったのだ。 多くの伏線を張り巡らせながらこのシーンに行き着くためにすべてがあったのだ。 カタルシスが一辺に解き放たれる瞬間だ。 そしてあのラストシーン。 なんて意外な素敵なエンディングなんだろう!! 本当に参ってしまう。 監督と脚本のビリー・ワイルダーに脱帽。 ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンに感謝。 そして彼らを支えた裏方さん達に拍手。 この3人とそのチームは、それから3年後に再び組み、場所をパリに移して 「あなただけ今晩は」('63)をつくる。 これも心温まる佳作で、もちろん大好きな映画である。 かずま ![]()
by odyssey-of-iska2
| 2014-07-05 23:27
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