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2014年 08月 23日
映画のメイキング・フィルムを観るのが好きだ。 タルコフスキーの「ノスタルジア」('83)や「サクリファイス」('86)のメイキングは作品と同じかそれ以上の価値を持っていると思う。創造の秘密が明らかにされるので。 同様に監督や出演者がその製作過程を語るのを読んだり聞くのも好きだ。 私は本来、映画は映画館で観るべきもので、ビデオやDVDで済ますのは邪道だと思っているが、唯一最近のDVDには特典として監督や出演者がその当時を振り返りながら語るバージョン付きのがあって、それを見つけた時は借りて観ることにしている。 「明日に向かって撃て」('69) を監督のジョージ・ロイ・ヒルの解説付きで観た時はとてもおもしろかった。また、ジョージ・ロイ・ヒルが俳優一人一人を尊敬していて、とても謙虚で真摯な監督だとわかった。 「テルマ&ルイーズ」('91) を監督のリドリー・スコットの解説付きと主演二人+脚本家の解説付きの2バージョンで観た時はそれぞれの立場の微妙な違いが会話に出ていて興味深かった。テルマ役のスーザン・サランドンの寡黙な語り口も役と重なり、おもしろかった。 ロバート・アルトマンの「ナッシュビル」('75) は長い間DVD化されなかった。それがとても不思議でしかたがなかった。 以前(2009.6.7) 書いたように、この映画はそれまで観たすべての映画と違っていた。そしてそれに魅了された私はまた観たいと強く思った。 名画座系では何度かかかっていたが、それを知るのはいつも終わった後で、残念な思いを繰り返した。 ある時、TSUTAYAに寄ったら隅っこにこのDVDがあってびっくりした。しかもアルトマンの解説付きで、さらにびっくりした。さっそく借りてきて観た。 アルトマンの解説は製作からだいぶ経ってなされたのだろう、その後の自身の作品や俳優達との付き合いの話も間に入って、なかなかパースペクティブでおもしろかった。 また、場面の解説もあっけらかんとしているというか、たまたまこうしたらこうなったのでおもしろいからそのままにした風な、現場を楽しんでいるというか、ハプニングを楽しんでいるというか、ライブ感たっぷりのジャズの生演奏を聴いてるようで、とてもおもしろかった。ユーモアと少々のことには動じない肝っ玉の太さと懐の深さを感じた。 で、38年ぶりに観た映画の印象はどうだったかというと、 初めて観た時と同様、とてもおもしろかった。 やはりこの映画はアルトマン映画の最高傑作だと思う。 「ザ・プレイヤー」('92)や「ショート・カッツ」('93)など、カンヌやヴェネツィアで賞をもらった映画スタイルの原型であると共に、とても創造的で生き生きしている。 「M★A★S★H」('70)と同様、時代背景や批評精神もきちんと入っている。それでいてナッシュビルが舞台なのでカントリーの歌が多く流れ、けして重過ぎず退屈しない。 24人のメイン・キャラクターのモザイクのように組み合わさった話を1回で理解するのはさすがに難しかったようで、今回見直すことでやっと人間関係が完全に理解できた。 だが、最大の驚きは、「ラストの、群衆が逃げまどう大階段の中を、空しさで一杯になりながら放心状態で去って行く選挙参謀の姿も秀抜だった」(2009.6.7) と書いた大階段が実際の映画には無かったことだ‼ 確かに選挙参謀は放心状態で会場を去って行く。だが、それは会場であるナッシュビルのパルテノン神殿の回廊であって、大階段では無い。 群衆も一旦はざわめくが、逃げまどうのではなく、コンサートに飽きて去る感じだ。 それをカメラはロングショットで正面から追い、空へゆっくりパンして終わる。 私はあの時、選挙参謀と同じく、最高潮に達したエネルギーが発砲事件で一瞬にして壊れ去ってしまう姿に呆然となり、映画を観終わった後も放心状態のままだった。 たぶん、その思いが年月の間に変質し、「戦艦ポチョムキン」のあの大階段シーンが記憶に混入してリセットされたのだろう。 かように記憶というものは曖昧でデタラメなものだ。 と、いろいろおもしろい発見のある再見だった。 いい映画は何度観てもおもしろい。 また観よう。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2014-08-23 21:17
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