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2014年 12月 17日
![]() 長崎で生まれたせいか、異なる文化の入り組んだ複雑な味のする街が好きだ。 特にヨーロッパとアジアの両方の匂いと香りのする街が好きだ。 だから私はイスタンブールに深く憧れる。 この憧れをさらに強くしたのは学生時代に観た「ミッドナイト・エクスプレス」('78)だ。 冒頭に流れる、モスクと湿ったボスポラス海峡にたなびく、くすんだ(少し緑がかった)灰色の光景にひどく魅了された。 私はそれをイスタンブールカラーと呼んで、それはボスポラス海峡の湿った空気がもたらす自然現象なのだろうと勝手に想像していた。(が、それから6年程して実際に現地を訪れ、単なる車の排気ガスと船の出す黒煙で空気が汚れて色が変わっただけの話だと知り、ゲンナリした) この「ミッドナイト・エクスプレス」はそれほど世評は高くないが、記憶に残る映画だ。というか、怖くて忘れられない映画だ。たぶん、私の観た映画の中では怖い映画のベスト5に入るだろう。 主人公のアメリカ人の青年は出来心から麻薬を国外へ持出そうとしてトルコの空港で捕まり、刑務所に入る。そこで幾多の理不尽な扱いを受けながら最後に脱獄に成功するという実話を元にした映画だが、始めから終わりまで緊迫感のある映像が続き、主人公と同様、私自身何度もひどい目にあったような気がして、塀の外へ脱出できた時にはホッとした。 途中のグランバザールを逃げまどうシーンや、浴場の天井のガラスブロックから光が降ってくるシーンは、その魅力的なくすんだ色と共に今でも憶えている。 次に思い出すイスタンブールの映画は、パトリス・ルコントの「橋の上の娘」('99)だ。 この映画はルコントの作品の中では一番好きな映画だ。モノクロで雰囲気があり、ストーリーに弛みがない。主演の二人(ヴァネッサ・パラディとダニエル・オートゥイユ)は共に魅力的で、特に美人でもないのになぜだかヴァネッサには惹かれる。 この二人が最初に出会うのはセーヌ川の橋の上だが、ラストシーンはイスタンブールだ。 このラスト以外はほとんど夜のシーンで(バックは黒で)緊迫感があるのだが、ラストだけはモスクを背景にボスポラス海峡を走る船上の昼間のシーンで、それにイスラムの音楽がダブり、少し違和感がある。 ルコントの映画は「仕立て屋の恋」('89)や「髪結いの亭主」('90)でも、なぜだか知らないが、どこかトルキッシュな、エキセントリックな香りがする。誰か理由を知る人がいたら教えて欲しい。 「愛より強く」('04)は偶然TUTAYAで見つけ、予備知識無しに観た。が、おもしろかった。 ハンブルグとイスタンブールが舞台で、前半は「ベティ・ブルー」と見紛うかのように激しくクレイジーな展開で「動」なのだが、後半は反対に内省的な「静」の世界が続く。 妻を失い自暴自棄になって自殺未遂を起こした40男が、美しい若い女から「イスラムの古い仕来りの家庭から逃れたいので偽装結婚して欲しい」と持ちかけられ、同意し、同じアパートで暮らし始める。 始めはありえないような話だったのがやがて真実味を帯び始め観客を引込む、というのは映画作りの常套手段だが、この映画はそれに成功している。 男はやがて女を愛するようになるが、女は夜な夜な違う男と遊び、自由を満喫する。そしてある晩、ふとした弾みで男は別の男を殺してしまう。 刑務所に入ることになった男と一族から離縁された女。 女は初めて男を愛するようになる。 ここから舞台はイスタンブールへ飛び、酒やドラッグや殺傷事件など重苦しい雰囲気になる。やがて男は出所し、女を追ってイスタンブールへやってくる。そして出会い、初めて結ばれる。だが、女には子供と家庭があった。そして最後は・・・ デ・ニーロとライザ・ミネリの「ニューヨーク・ニューヨーク」と同じ結末で、ほろ苦い人生の味がした。 主人公の一人シベルを演じるシベル・ケキリは適役で、度胸がいい。 対するジャイト役のピロル・ユーネルは、最初はドブネズミか野良犬のようにしか見えず、本当にこんな奴にこんな美人が?と思わせる所がかえっていい。(実際、演技はとても上手で、次第に共感するから、最後にほろ苦さを一緒に噛みしめるのだ) 監督のファティ・アーキンは初めて観たが、この作品でベルリン映画祭金熊賞に輝き、世界へ飛び出していった。 他の出演者も含め、ほとんどがトルコ系ドイツ人で、だからイスラムの家系の複雑さや仕来り、風俗風習、音楽などイスラム色が強く出ていて、イスタンブールを旅していた頃を思い出した。 またこういう映画があったら観てみたい。 イスタンブールは過去の街ではなく、これから何かが生まれる街だから。 かずま ![]()
by odyssey-of-iska2
| 2014-12-17 23:47
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