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2017年 02月 27日
美術の話をすると、君は美術の本の知識を話す。 ミケランジェロのことにも詳しいだろう。彼の作品、政治的野心、法王との確執、セックス面での好み・・・ だが、システィーナ礼拝堂の匂いを、あの美しい天井画を見上げたことは? ないだろう。 女の話をすれば、君は好きなタイプを挙げる。 女と寝たこともあるだろう。 女の隣で目覚め、真の幸せを感じたことは? 君は難しい子供だ。・・・ 愛の話をすれば 、君は愛の詩を暗唱する。 でも、自分をさらけ出した女を見たことは? 目ですべてを語ってる女。君のために空から舞い降りた天使。君を地獄から救い出す。君も彼女の天使となって彼女に永遠の愛を注ぐ。 どんな時も・・・癌に倒れても。 2ヶ月もの間、病院で彼女の手を握り続ける。 医者も面会規則のことなど口に出せない。 自分への愛より強い愛で愛した誰かを失う。 君はその悲しみと愛を知らない。・・・」 これは心理学者のショーン(ロビン・ウィリアムズ)が、天才だが心を閉ざした問題児のウィル(マット・デイモン)に公園で語る台詞だ。 亡き妻を描いた思い出の絵に心ない言葉を吐いたウィルに対する直球の言葉だ。 別の場面ではこうも言う。 「妻は緊張するとおならをするヘンな癖が・・・眠ってる時もね。 ある夜はその音で犬が目を覚ました。妻も目を覚まして、 『今のは、あなた?』 ・・・死んで2年、ひどい思い出だな。 そういう小さなことが、今では一番懐かしい。 僕だけが知ってる癖・・・それが愛おしかった。 僕の癖も彼女は皆知ってた。 癖を欠点と考える人間もいるが、とんでもない。 愛していれば恥ずかしさなど吹っ飛ぶ。・・・」 (奥さんに出会ってなければ、どんな人生を歩んだかと問うウィルに対し、) 「そりゃ、今も悲しい。 だが、妻との日々は一日たりとも後悔していない。・・・ 彼女に話しかけなかったら今も後悔してただろう。 ナンシーと暮らした18年に後悔はない。 彼女が病気になり、仕事を辞めた6年間もね。 (ワールドシリーズのチケットを友達にやり、デートをして)あの試合を見逃したことなど、何でもない。」 この映画で妻は最後まで(写真さえ)出てこない。 だが、ショーンの語る言葉でその姿や幸福な日々は鮮やかに甦る。 この映画は幼い頃にトラウマを負った一人の若者が、出会いの中で徐々に目覚めていく過程を追った、一種の教養小説のような映画だが、それ以上の映画になり得たのは、この不在の妻の存在、愛と信頼に満ちた幸福な日々の造形、が大きい。 この普遍的な力によってウィルは頑なな心を開き、自分にとって一番大切なものは何かに気づき、旅立つ、痛快な(だが、けして派手ではない)ラストシーンヘとつながる。 (この辺りは、歌が多くバックに流れているせいか、「卒業」('67)を思い出させる) この映画は人を愛することの大切さとすばらしさを静かに教えてくれる。 監督のガス・ヴァン・サントは急がず丁寧に登場人物の一人一人を描いている。 脚本は主演のマット・デイモンで、彼がハーバード大の授業で書いた戯曲を友達のベン・アフレック(この映画でもいい味を出してる)に見せ、共同執筆したものだが、実によくできてて 、才人だなと舌を巻く。また、繊細な演技で、主演も適役だ。 だが、やはりこの映画の最大の功労者は、ロビン・ウィリアムズだろう。 演技と共に、言葉の力をまざまざとみせてくれる。 名優だなと思う。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2017-02-27 19:39
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