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2018年 10月 23日
サム・ペキンパーは過激な暴力描写とスローモーションを多用した映像で有名だが、それだけではなく、いつも人の矜持を描いて、好きな監督の一人だ。 彼は生涯14本の作品を残したが、私はそのうち5本を次の順序で観た。 「わらの犬」 (1971) 「ジュニア・ボナー」(1972) 「ゲッタウェイ」 (1972) 「ワイルドバンチ」 (1969) 「ガルシアの首」 (1974) 「わらの犬」はダスティン・ホフマンが主演で、次の2つもスティーブ・マックイーンが主演だから観た。つまり、二人のファンだから観始めたのだが、「ワイルドバンチ」と「ガルシアの首」を観てからは、圧倒的にサム・ペキンパーのファンになった。 (断っておくが、私は過激な暴力描写や無駄に血を流す映画は嫌いで、そういう意味では戦争物やアクション物には全然惹かれない。だからペキンパーの作品でも「戦争のはらわた」は観ていない) 私が惹かれるのは最初に言ったように、ペキンパーの映画に流れる男の矜持と哀感だ。ペキンパーはそれを際立たせるために暴力描写とスローモーションを使った。そう思う。子供や女がよく登場し、その心理描写が極めて繊細なのも、ただの過激な暴力愛好家でないことがわかる。 西部劇には興味が無く、ほとんど観ない。その理由は、多くが白人から見たヒーロー物で、白黒のはっきりした単純な構図の映画だからだ。 だから「ワイルドバンチ」も期待しないで観た。だが、全然違っていた。 年老いたパイク(ウィリアム・ホールデン)率いる強盗団は騎兵隊を装い、銀行強盗に成功するが、彼らを追いかける賞金稼ぎの待ち伏せに出会い、わずか5人になる。 (この逃走劇で、橋を爆破して、追っ手が馬もろとも川に落ちるスローモーションは、初めて観た時には呆気にとらわれると同時に、美しいなぁと思った) 5人は国境を越え、革命軍と政府軍の内乱が続くメキシコに逃げるが、政府軍を率いる将軍との間にいざこざがあり、最終的には1人が捕らわれリンチにあう。 仲間を見殺しにできない4人は将軍の元に出かけ助けようとするが、最後は壮絶な銃撃戦となり、政府軍を皆殺しにする代わりに彼らも全員死んでしまう。 (このラストの「デスバレー(死のバレー)」と呼ばれる有名な銃撃戦は迫力満点で凄い! と同時に、初めて観た時はスローモーションシーンは美しいなぁと思った。 もちろん、純粋に映像的な話だが・・・) この映画は黒澤の「七人の侍」の影響を受けている。 だが、決定的に違うのは、主人公たちが皆死んでしまうことだ。 非情だが、よりリアルで、虚しさや哀感の余韻がより深く残る。それまで観た西部劇とは違って、西部劇の形を借りた現代の映画のように感じた。 「サム・ペキンパー 情熱と美学」(‘05)は彼の生涯と作品を扱ったドキュメンタリーだが、ペキンパーファンなら知ってることばかりで新たな発見は無い。 だが、「ワイルドバンチ」にも出演しているアーネスト・ボーグナインやジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソンらがペキンパーについて語るシーンは興味深い。誰もがペキンパーを愛していて、プロデューサーや制作会社に盾突き、従おうとしない彼を面白おかしく語りながら、心の底で擁護し、援護している。 お金目当てではない、現場の人間達の、映画にかける情熱や熱気があった、幸福な時代の香りが漂っている。 最後は酒やコカインに溺れて死んでしまうが、男っぽい映画ばかりつくってきた反面、実は非常に繊細な神経の持ち主だったのだろう。 でもペキンパーは幸運だ。 今でも「ワイルドバンチ」やその他の傑作を私たちは観ることができる。 映画は永遠だ。 かずま
by odyssey-of-iska2
| 2018-10-23 21:41
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