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2021年 10月 02日
映画を観たくなる時というのは人によって違う。 私の場合はものつくりなので、ただ単に楽しむために観るということはほとんどない。たとえそうだとしても、観てるうちに自然とつくり方を見てしまう。そしてつくり方が強調され過ぎたり、あざとかったりするとすぐ興醒めしてしまう。 また、最近の映画のように、やたら詰め込み過ぎて展開も早く、時間も長いと疲れてしまう。やはりある程度、内容を噛み砕くだけの時間とそれにあったテンポ、そして構成は必要だ。 映画づくりは難しい。 この映画は前から知っていた。だが、観なかった。 タイトルや解説でなんとなく想像がついてしまうからだ。(この邦題は最悪だ。「Intouchables」が「最強のふたり」なんて!) 創造や想像を楽しむために観る映画が、最初からなんとなくわかっていたのでは魅力が半減してしまう。だが、実際観てみると、予想以上によかった。 先ず冒頭の夜のドライブシーンがいい。 乱暴な運転でパトカーに追いかけられると二人で賭けをする。一旦捕まるが、更に賭けをして嘘の演技でまんまと警官を騙し、EW&Fの「September 」をかけて得意になって二人で歌い出す。それにかぶるオープニングタイトル。 この遊び心とスピーディーな展開はフランス映画とアメリカ映画のいいとこ取りだ。 そしてこの二人、貧民街で育ち、雑で素行の良くない黒人青年ドリス(オマール・シー)が、大金持ちだが脊髄損傷で車椅子生活のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)と出会い、その世話をすることになった経緯が、ちょっとキツイジョークも交えながら、だがサバサバした感覚で描かれる。(日本映画ならもっとウェットでシリアスになってしまいそうだが、この辺りはさすがだ。また、日本だと差別用語云々の抗議がすぐに来そうだ) フィリップは自分を障害者としてでなく、一人の人間として対等に接するドリスに好意を持ち、信頼を深めていく。ドリスも自分を曲げることなく、そのままの姿でフィリップや周りの人と接する。その化学反応が劇的効果をもたらすのが、フィリップの誕生日の退屈なクラシックコンサートの後に、EW&Fの「Boogie Wonderland」をかけてドリスがキレキレのダンスを踊るシーンだ。そしてドリスの求めに応じてフィリップのためにみんなが弾けてダンスを踊るシーンだ。それを見ながらウキウキするフィリップ。この映画で一番印象的なシーンだ。 これがワンテイクで撮られたとは・・・凄い‼︎ その後も二人はパラグライダーに乗って大空を飛んだりして友情を深めていくが、やがてドリスの家庭の事情を知ったフィリップは彼を実家へ返す決断をする。 新しく世話をすることになった(如何にも介護役らしい)介護人とウマが合わず、調子を崩すフィリップ。そして駆けつけたドリスと(冒頭のシーンを経て)二人はダンケルクに向かう。そこでフィリップの文通相手とのデートを仕組んだ後、彼女が来るのを見計らって去るドリス。 この時のオマール・シーの去り際の微笑みがたまらない。 淋しさと温かさの入り混じったラストだ。 これは実話を元にした映画だが、本当はもっとシリアスで大変だったろう。 それをフランス映画らしく、ユーモアとエスプリに包んで、ある種のファンタジーにまで昇華させた。 アフリカ系黒人の貧富の問題、多様性、介護する者とされる者との心の捉え方の差異など、感じるものはたくさんあるが、特に二人の車椅子姿を見ながら、長い間介護した(今はもういない)父と母の車椅子姿とダブった。 そして、ドリスのように、もっとぶっきらぼうでデタラメでもよかったな。暖かい日だけでなく、雪の日も寒い日も外に連れて行けばよかったな、その方が本当で、と思った・・・ かずま
by odyssey-of-iska2
| 2021-10-02 21:38
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